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『火星の土方歳三』/吉岡平/ソノラマ文庫/2004.5.31初版

斗(たたか)って斗って、死してなお斗いを欲する漢(おとこ)、土方歳三。郷里より遥かな蝦夷の地にて敵弾に倒れた彼が見上げた宙に、軍神マルスの司る赤い星が輝いていた・・・。 カッコイイですねぇ。豪傑という形容がぴったりな男として描かれる土方が、…

犬も犬なら猫も猫/ケイブンシャ文庫

SFじゃないけど、博識なSF作家小松センセイが描く、すごく面白い科学エッセイの一つ。情報は確かに古いですが、考察の仕方に見習う所が多々あります。動物の行動一つから対比し、人間自身の生態・行動を読み取ってしまう、鋭い洞察に満ちた本です。fuchi…

神様のパズル

噂に聞いていたよりもハードSFというか物理学の話が頻出だったので、少々弱りました。青春エンタの形式をとってはいますが、少なくとも「ニュートリノ」や「シュレディンガーの猫」などの語にトキメキを覚える人じゃないと、この辺のおカタイ話が多いので…

ドゥームズデイ・ブック(上) (ハヤカワ文庫 SF ウ 12-4) (ハヤカワ文庫SF)  ドゥームズデイ・ブック(下) (ハヤカワ文庫 SF ウ 12-5)

合宿中に『ドゥームズデイ・ブック』を、読書会の一時間前くらいにようやく読了。読書会自体もつつがなく終了。読書会は“つつがなく”終了しない方が面白いのだけど、この本はあんまり突っ込んで議論する本では無かったです。 これはタイムトラベルものではあ…

動物化するポストモダン オタクから見た日本社会 (講談社現代新書)

ちまちま読んでいまして、今頃読了です。 私は本書で主張されている言説に対しては、あまり触れないで生きたいなぁと思っているので、深く触れません。ただ、これからは確かに「美少女ゲーム」について語れる評論家が必要なのかも知れないな、とは思います。…

地には平和を (新風舎文庫)

いい本ですね。小松左京氏の初期SFが十篇詰まっている短編集です。最近ハルキ文庫でも同じような「小松左京傑作選」が出されていますが、こちらは1962,63年の2年間に発表された、完全に初期の作品群で固めています。 「地には平和を」 「終わりな…

「薫煙肉(ハム)の中の鉄」山田正紀…編:豊田有恒『ロマンチックSF傑作選』収録

先日のレビュー後に筒井康隆、高齋正、山田正紀の3篇を読みましたが、仔細に紹介している時間がないので、その中では一際優れていると思えた山田正紀の一篇を紹介します。 世界戦争か何かで、人類が文明を失った世界。焼けた荒野に残ったわずかな人間たちは…

「奇跡の乗客たち」…梶尾真治『黄泉がえり』収録

こちらもユーモア溢れる一篇。 山間を走るバスが地震に遭い横転し、乗客3人と運転手が放り出された。乗客のうち初老の男が肋骨を骨折する大怪我をおい、たまたま乗り合わせた医者は手術をしたいが利き腕を骨折している。そこに、全国を修行に巡る腕利きの料…

「六番目の貴公子」…梶尾真治『黄泉がえり』収録

先日紹介した小松左京「人魚姫の昇天」と同様に民話をSF解釈するもので、こちらは「なよ竹のかぐや姫」を題材にしています。 竹取りの翁に育てられたかぐや姫の美貌は、多くの貴族に求婚を迫らせるものだった。中納言にあるかじのもとのしんひと氏も一目見…

「世界樹の高みに」田中光二…豊田有恒:編『ロマンチックSF傑作選』(集英社文庫)収録

ちょっと前に古本屋で見つけて、執筆陣のあまりの豪華さに眩暈を覚えつつレジに向かい、ほくほくしながら帰ったっけ。 田中光二のものは3つ目で、この前に小松左京と平井和正の短編があります。 小松左京「人魚姫の昇天」は、有名な童話を強引にSF解釈する…

黄泉びと知らず (新潮文庫)

「黄泉びと知らず」…梶尾真治『黄泉びと知らず』(新潮文庫)収録 星雲賞受賞作、早速読んでます。 『黄泉がえり』の方は読んでいたのですが、こちらは「本編の蛇足なのでは〜?」と思って、読んでいなかったんですね。そしたら星雲賞受賞。この期に買ったわ…