ケーキケーキケーキ (白泉社文庫)作者: 萩尾望都出版社/メーカー: 白泉社発売日: 1996/03/01メディア: 文庫 クリック: 8回この商品を含むブログ (21件) を見る

萩尾望都さんの中短編マンガ集を読む。いやー、これ、読みたかったんですよね。ちょっと耳にする機会があって読みたくなった本を、古本屋で見つけて読むというのは幸せです。しかも面白いとなれば、それはもう至福。
表題作「ケーキ ケーキ ケーキ」の粗筋。父が大学教授で母はフランス語がペラペラのインテリという両親は長女に文学を、次女に音楽の英才教育を施し成功し三女のカナには美術を教えるが、一向に才能を開花させる気配がない。当のカナといえば、いつも考えるのはケーキの事ばかり。そんなカナはある日、フランス菓子のお店でアルベールという青年に出会う。彼の作るケーキの素晴らしい味に魅入られた彼女は何とかして彼の弟子になろうとパリにへ向かうが…。
好きだなぁ。とても単純な物語で『11人いる!』『百億の昼と千億の夜』のような凄さはまるで無いのですが、素朴なサクセス・ストーリーの可愛らしさみたいなものを感じます。もしかしてfuchi-komaは色々考えすぎて、原点を忘れかけていたのかなぁ。とか思ってみたり。
好きな事(趣味)を仕事にしたい。こういう考えは、今時あまり歓迎されないように聞きます。仕事は仕事と割り切って趣味を別に持つ方が楽だよ、とか何とか。
しかしそれでも、長く続ける仕事は好きでないと辛くなりますし、好きを仕事にしたいという思いは多くの人が抱く考えだと思います。
fuchi-komaは特に希望の職種もなく、まだ何も展望の開けない将来に(少しだけ)焦りを感じる大学2年生です。しかし「ケーキ ケーキ ケーキ」のカナような一途な情熱を何処かに抱えていて、もう少しで入り口まで辿り着けそうな予感をしています。
うーん、こう言うと「仕事とオンリーユーフォーエバー恋愛」しようとしていると聴こえるのかな。そうであり、そうではないのですけどね。
仕事を趣味にする事と、趣味を仕事にする事の狭間には何があるのか。社会人の諸氏ならお判りの事でしょう。fuchi-komaは考えています。