太陽系帝国の守護者―宇宙英雄ローダン・シリーズ300 (ハヤカワ文庫SF)作者: クルト・マール,五十嵐洋出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2004/05/07メディア: 文庫 クリック: 1回この商品を含むブログ (7件) を見る

現在、東洋大学SF研には2年生の3人を主要メンバーとするサークル内サークルがあります。といっても実は先月結成されたばかりの極小サークルで、名称は「トライ&エラー」といいます。活動はSF研本体と変わらず月数回の読書会ですが、「今月の新刊のアレ面白そうだけど、ちょっと読んで感想を言い合ってみようか」といった、より小回りの効くものを考え、結成と相成りました。
先月行われた最初の読書会は「我が家のお稲荷様」(柴村仁電撃文庫)でした。しかし、どうにもこれがやりにくかった。何故といって、3人の意見が殆ど同じで「あまり面白くなかったけど、どう楽しめば良かったのだろう?」という話に終始してしまったのです。テキトーに決めたお題とは言え、最初の読書会は暖簾に腕押しといった手ごたえで終わってしまいました。
そして今日は「トライ&エラー」第二回読書会。お題は上記の『宇宙英雄ペリー・ローダン300 太陽系帝国の守護者』でした。世界最長のスペースオペラ・シリーズの記念すべき300巻目です。
ここで少しSF研の暴露話になります。東洋大学SF研は毎年『ハヤカワ文庫SF年鑑』(詳細はこちらhttp://www.geocities.jp/toyosf/syuppanbutu.html)を発行していますが、この年鑑レビュー企画でいつも最大の問題として浮上するのが、年間10冊を数える『ローダン』の書評を誰が担当するか、です。「ドイツのスペオペをこんなに沢山読まなきゃいけないなんて…」やりたくない人たちは、時には後輩を巧みに騙して、あるいは美味しいもので釣ろうとして…権謀術数のめぐりめぐる闘いが繰り広げらるのです。
そんな『ローダン』なので読む前は心配していたのですが…意外と読めました。三人とも「なかなか面白かった」との総評。300巻で積み上げてきたテクニカル・タームが多いという点も「サイバーパンクの意味不明語に比べれば」と、流されます。1万光年の彼方にある星に数十時間で行かなきゃならない、とか鉱石小惑星が知性を持つ、といった荒唐無稽な話も「スペオペならではの壮大さ」として受け入れられていきます。なんだ、全然問題ないじゃん…と思っていると、先代のローダン係M先輩が現れて、一言。「お前らローダンで遊んでいるみたいだが、係になればローダンに弄ばれるんだぞ!」だそうで…ごもっともです。だいたい、1/300冊読んだくらいじゃ、偉そうな事言えませんよねぇ。


追記 先日JR武蔵野線で、隣の席の50歳前後の白髪交じりのおじさんがカバーのかかった文庫本を読んでいました。fuchikomaの悪い癖でちらと覗いてみたのですが、そしたら何と、「ローダンⅡ」という文字が見えてくるじゃないですか。どうやら『ローダン』の300巻台を読んでいるらしいんですね。思わず肩を叩いて「おぉ、友よ!」と抱き合いました…というわけにはいきませんから、さりげなくこちらも(読み終わっていた)『ローダン』300巻を取り出して、見せ付けるように読んでやりました。気付いたかどうかは判りません。たぶん、気付いてなかったでしょうけど、何だか凄く嬉しくなりました。よりにもよって、ローダンですからね。
あぁ、あの時「おたくも、ローダンですか」と声を掛けていれば、一体どんなドラマが生まれていたか(ラブ・ロマンスでない事は確かですが)と思うと…自分の勇気の無さが恨めしく思われます。
というわけで、次の「トライ&エラー」読書会は

電車男

電車男

です。fuchikomaは既にWebで読みましたが、素晴らしい“ノンフィクション”だと思ったので、お題にしました。さぁて、どんな読書会になるのでしょうか。