クロノス・ジョウンターのヴァリエーション伝説

この胸いっぱいの愛を」の題で純愛映画化するとの事で、何かと話題の『クロノス・ジョウンターの伝説』。この書籍は何度も形態を移していて、しかも収録作が増えたり減ったりしていてちょっとややこしいので、どのヴァージョンに何が収録されているのか、これから読むならどのヴァージョンを読むべきなのか、ここで少し整理してみます。

以下、出版された順に並べ収録作の推移を記します。


クロノス・ジョウンターの伝説』は先ず朝日ソノラマより単行本としてまとめられた。

収録作

    • 吹原和彦の軌跡
    • 布川輝良の軌跡

収録作は以上二編であった。


それが4年後に文庫化してソノラマ文庫NEXTより刊行された。

ソノラマ文庫NEXT版
この文庫化に際し、書き下ろし一編を追加している。

収録作

    • 吹原和彦の軌跡
    • 布川輝良の軌跡
    • 鈴谷樹里の軌跡

更に4年経ち、ソノラマ文庫になる。

クロノス・ジョウンターの伝説 (ソノラマ文庫)

クロノス・ジョウンターの伝説 (ソノラマ文庫)

ここで更に外伝一編が追加される。
外伝の一編とは徳間デュアル文庫『NOVEL21 少女の空間』に書き下ろされた「朋恵の夢想時間」である。

収録作

    • 吹原和彦の軌跡
    • 布川輝良の軌跡
    • 朋恵の夢想時間
    • 鈴谷樹里の軌跡

そして2年後、映画化に合わせてソフトカバーになった。

新編クロノス・ジョウンターの伝説

新編クロノス・ジョウンターの伝説

収録作は…amazonの作品解説を見ると、以下のように書いてある。

小社既刊文庫より、「外伝」1話とSF評論を割愛し、著者自身による作品解説を加えた、新編集版!


という事は…、

収録作

    • 吹原和彦の軌跡
    • 布川輝良の軌跡
    • 鈴谷樹里の軌跡
    • 著者自身による作品解説(?)

こうなりますね。




えーと、SF評論については(「純愛映画化」の流れから理由が何となく分かるので)置いておくとして、外伝を「割愛」したっていうのは何故なのかしら? 謎ですね。著者の意向なのか、出版社の戦略なのか。これ以上は推測の域を出ないので書きませんが、気になります。


これだけヴァージョンを移して収録内容もコロコロ変わるっていうのは珍しい事だと思いますが、そうでもないのでしょうか? まあ何れにしても、こういう事ができるのは売れる本だからなんでしょうね。
以上の整理から言えるのは、これから読むなら「ソノラマ文庫版」が最も多くの内容を包含しているのでオススメである、但し「ソフトカバー版」には著者自身による作品解説があるので興味があればこちらも参照されたい、という程度で良いカナ?
まぁ、ただ映画原作を読みたいっていう人にとってはどれでも良いのかも知れませんけど、原作を読む前に一応検索してみたよ、っていう偉い方がいらしたら参考にしてみてい下さい。以上。