SFセミナー合宿

SFセミナー MISSION終了の続き。

SFセミナー合宿へ赴く前に、本会終了後同行させて頂いた東京大学新月お茶の会の中村氏・平林氏の二名と早めの夕食を採る。昼食をまともに食べていなかったfuchi-komaは空腹で倒れそう。近所に在住するという平林氏は自転車で来ており、彼の案内で安くて美味しいハンバーグ屋さんに連れていって貰う。
SFセミナー合宿の旅館・鳳明館森川別館は東京大学本郷キャンパスのすぐ傍にある。中村氏の曰く「ここは東大受験者がよく泊まる旅館で有名」なんだそうである。とすれば当然そこにはかつて受験に失敗した学生/浪人の怨念が澱み渦巻いているはずで、これがSFファンの持つ独特の力と相まったらば、いつ不可思議な事象が起きてもおかしくない……なんて話をしつつ、旅館に到着。

19:00 オープニング

合宿参加者200名前後が大広間で一同に会し、並み居る著名人の面々が紹介されていく。辺りはSF界隈の著名人ばかり故、一通り紹介するのに20分くらいかかり結構大変である。

20:00 企画1コマ目

  • SF映画の部屋
  • 米澤さんと遊ぼう!
  • 朝暮三文改造講座その2
  • SFファン交流を考える会

今回は「SFファン考」部屋にお呼ばれしていたので、とにかくそちらへ。
他の部屋も(特に朝暮さん部屋)覗きたかったが、残念ながら体は一つしかない。
「ファン考」部屋は平均年齢が25歳くらいだったろうか。現役大学生が10名強+OB・OG(京大方式ではOP(オールド・パーソン)になる)が数名、後はギャラリー。司会は鈴木力さん。
東京大学SF研・東京大新月お茶の会東洋大学SF研・京都大学SF研・名古屋大学SF研・ワセダミステリクラブの現役生に加え、お茶の水大学OGの方や弘前大学SF研OBという方々がおられた。
話題・展開はほぼ予想通りであるが、各大学サークルの明らかになった実情は色々面白い。例えば構成人数などは大体のサークルが我が東洋大学と変わらぬ20名に足らず、新入生の獲得に一喜一憂するといった話。ところがワセダミステリクラブは現在100名近くの会員を抱し、新入生も20名を超えるという。思わず新月の中村会長と顔を見合わせ苦笑する。流石のワセミス、恐るべしワセミス、である。
また京大SF研には強力な新人の入会が決まったとの事。中学・高校の頃からSFマガジン考課表に参加していた熱心なSFファンだそうで、これは事前に聞いてはいたが、矢張り羨ましい。SFでなくとも良いが地力のある新人が欲しい。



このコマから既に意識が判然としていなかった気がする。
情報の信頼性に翳りがみえるので、ここら辺は話半分に聞いて頂きたい。

21:30 2コマ目

  • 春の新作アニメめった斬り!
  • 最強の文学
  • 最近の海外SFを語る(らしい)部屋
  • 第4回Sense 0f Gender賞 討論会


さて、どうしよう。何れも興味深く悩ましいものだから、ちょこちょこ覗いて回る事にする。


「春の新作アニメ〜」部屋は新作アニメのOP/EDを流し、誰か詳しい人が解説をつけてくれるというもので、4月からの新作アニメ総チェック企画のようである。新作アニメのチェックはfuchi-koma既に済ませている。OP/EDを集めたDVDも全く同じモノを作っているので担当者とお話をしてみたかったが、叶わず。因みにfuchi-komaが新作アニメ30個程をチェックして、現在継続して視聴しているのは4つくらいである。『交響詩篇エウレカセブン』『Speed Grapher』『バジリスク』『攻殻SAC 2ndGIG』……『剣聖のアクエリオン』は一応チェック、『エマ』は時々、それくらいかな。とにかくそういうモノのチェックには便利な企画であるが、fuchi-komaには益が少ないので早々に部屋を出る。


「最強の文学」この部屋、廊下から見てもたいへん厳かなオーラを放っているので近寄り難い。ここは平林氏や同輩のF川君が張り付いているはずなので、後で彼らに話を聞けば良いだろう。ちらと覗き見してから立ち去る。


「海外SFを語る〜」ここは企画担当者が次々と来られなくなるアクシデントがあったそうで、当日のプログラムには「工事中」と書いてあった。結局、向井淳さんや林哲矢さんが中心に海外SFを語る部屋になったそうである。セミナースタッフさんご苦労様。しかしfuchi-komaは覗かなかった。


「Sense Of Gender賞〜」今年もジェンダーSF研である。小谷真理さんを中軸に、夏一葉さんなどがいらしていた。彼女、またコスプレをしていた様だが、はて今回は何だったろう。記憶にない。部屋には12,3名の人間がおり8割が女性だったと記憶する。
リストがもう手元にないのだが、30近くに及ぶ候補作品を「ジェンダーSFとして如何であったか」を論じていく構成で、なかなか面白い。既読作品が粕谷知世『アマゾニア』、佐藤亜紀『雲雀』くらいしか無かったので何も言えないのだが、何となく『アマゾニア』には頑張って欲しい。

23:00 3コマ目(最後のコマ)
  • ほんとひみつ
  • これがSFだ! 2004年マイ・ベストSF
  • ワールドコンに行こう!
  • SFファンのための やさしい☆ライトノベル


1コマ目同様、一箇所のみに留まる。うう(ToT)ノ~
「SFファンの〜ライトノベル」部屋。
これには事前の企画MLの段階で協力していたので、少し気合を入れて行く。
MLの内容はfuchi-koma如きの権限を超えるので詳らかにしないが、ライトノベルに詳しい方々が事前にサンプルを考察し、当日の流れを円滑にしようというものであった。
当日は、ライトノベルを見慣れていない方々の事を考え幾つか現物があった方が良いなと思い、MLで挙がった作品のうちfuchi-komaの所有するモノを持って部屋を訪れた。大広間で売る為に持って来たというKさんのラノベも含めテーブルに40冊程ばら撒いたら、三村美衣さん、頭が痛くなってきたと言わんばかりの顔をしておられた。
ここから先はfuchi-komaが内心の葛藤における闘争パートと、外部部屋セカイの混沌パートに別れるのだが、ここでは部屋=混沌パートを少し描くのみにする。fuchi-komaの頭は過熱気味であったし、あの混沌は纏め記せるものではなかった。
また、あまり記したくない事もあるので、大部分を割愛させて頂く。


メモを頼りに大筋だけ記す。


最初に扱われたサンプル4さんは37歳♂。
高千穂遥吉岡平深沢美潮を読んでいるが、ここ10年くらいのラノベが判らないというSFファン。「最近歴史モノに目覚めた」という点からキーワードが歴史モノになった。


サンプル3さんは20代後半♂。
途中から本人が名乗り出てしまい、他と趣向が変わる。ライトノベルをわざわざ投げる為に持参し実際に投げてしまうなど、幾つかの点で問題な人物であった。隣席したEさんも「あれは注意した方が良いのじゃないか」。ネットでも非難の声が上がっている。当人は振る舞いを反省すべきだとfuchi-komaも思う。イベントとして盛り上がったという点は認めるが……。これ以上は言いたくない。


サンプル2さんは34歳♂。
好きな恋愛パターンが「ツンデレ」との事で、話はツンデレ方面に走る。走る。走る。アニメファンでロシア文学が好きで、と受け皿がやたら広い人間のようなので、幾多のライトノベルが薦められ、話が弾む。少々弾み過ぎの感もあり。


そして最後のオチとして登場するのがサンプル1さん。21歳♂。
最近はG=ガルシア=マルケスや、ウラジミール=ナボコフ、コニー=ウィリスなどが面白かったという方。太宰治檀一雄星新一北杜夫東海林さだおラヴクラフト、ポー、トールキンムアコック、マッケン、ブラックウッド、ダンセイニ、デ=ラ=メア、ベスター、ヴァンス、オールディス、ゼラズニィスタージョン、ポール=オースター、ミルチャ=エリアーデボルヘス、イタロ=カルヴィーノ……読書遍歴として与えられたこれらの情報から、果たしてどんなライトノベルを薦められるというのか。予想通り、室内は荒れに荒れた。
「サンプル1はわざわざライトノベルを読む必要は無いんじゃないか」との声に「この人は物語を楽しむ基礎的な部分が欠けている気がするから、そこを補強してあげたい」と三村美衣さん(こんな感じだったと思いますが、全然違ってたらゴメンナサイ--;)。第弐斎藤さんもここは重要であると言っておられました。
この「ライトノベル」企画は他のどの部屋よりも長い時間がかかったようで、終わり間際には他の部屋から流れ着いた人で部屋が膨れていた。1時30頃であったろうか。


もうこの辺りは記憶があまりありません。


ライトノベル」部屋で一つ意外だったのは、真行寺のぞみ著『血まみれ学園とショートケーキプリンセス』(電撃文庫)の名を挙げた時に反応が薄かった事。あの本の凄まじさ、案外知られていないのだろうか。あれはただの地雷では片付けるには惜しいと思うのだが……。これはいずれ機会があれば論じてみたいと思う。


この後はfuchi-koma、大広間とライトノベル(終わった)部屋をうろうろする。
大広間ではSF乱学講座の方(名前を失念^^;)が哲学科出身という事で、『神狩り』の話をば(お蔭で『神狩り』への想いを少しまとめられました。感謝)。ライトノベル部屋(終わった)では、東京大学SF研、新月お茶の会、ワセミスの方々とSFの話をば。筒井・小松両御大論では余計な事を口走り失敗するが、反証も予想内であった。しかしfuchi-koma、海外小説に対してはまだまだ偏見と読解不足があると痛感する。皆がどうしてそんなにイーガンが好きなのか、判らぬ。もう少し勉強が必要な様である。
同室になった猟奇句会のS氏とライトノベルの捉え方について話が出来たのも良かった。年齢の近しい仲間同士では多くの言葉を費やして既に語って来た事も、年齢や遍歴の違う人間を相手にすると、少し違った角度で語らざるを得なくなる。そうしてアナロジーの使い方を学習する。他にもSFや本の用語の話をした。
大広間に戻ると、Kさんが持ち込んだラノベの大半が売れてしまっている。うーむ。『ソリッドファイター』は矢張り買っておくべきであったか。少々勿体無い事をした。しかし何より勿体無いのは、牧眞司さんが早寝だとは知らなかったので、色々と伺う折角の機会をふいにしてしまった事。またの機会を狙いたい。
そんなこんなで、結局朝の5時だかそのくらいまで館内を亡霊の如くうろつき、バッタリと倒れ意識を失い、寝てしまったfuchi-koma。そして8時過ぎの閉会式、これも寝ていて聞きそびれる。刊行物や収穫の大荷物を抱え、平林氏に手伝って貰いながら(感謝!)、大学のサークルBOXに何とか辿り着き……そこから先は別の冒険の物語になるので割愛。今日はこの辺で終了致します。長文にお付き合い頂き有難う御座いました。


また無駄に長文のレポートになってしまいましたが、これがfuchi-komaのやり方です。記憶の整理作業。これを一言で述べると、
セミナー、とても楽しかった。また来年も行きたい。です。


えと。事実と著しく違う内容が書かれていたり、誤記があるという場合は、コメント欄かメールで指摘お願いします。m(_ _)M