血を吐く事、身体のこと、それから色々

あぁ、身体がヤバい。壊れそう。


(〜♪「ヒロシのテーマ」にのって〜)

fuchi-komaです。
いつの頃からか――それは白状すれば大学一年の夏からですが――しばしば身体を壊しそうになるfuchi-komaです。昔は皆勤賞もとれるほどの頑健がとりえだったのに、大学に入ってから夜型生活というどうにも悪い習慣を身につけてしまったせいで、もう虚弱といっていいような身体になったとです。
fuchi-komaです。
時々、養命酒の使用を考えます。
fuchi-komaです。
この間落第しかけたのも、体調が優れない事を理由に自主休講を繰り返して、殆ど出席していなかったからです。
fuchi-komaです。fuchi-komaです。fuchi-komaです……。



そんな風に度重なる不摂生がたたっても、すぐケロリと忘れて立ち直ってしまうのがfuchi-komaの唯一の美点だったのですが、流石に昨日はビビりました。
長くなりますが、最近日記を書いていなかったので、近況を絡めてその話を致しましょう。



このところのfuchi-komaは夜は活発に活動して朝は7時台に布団に入る、という春休み大学生の特権を濫用した生活をしていました。たとえ隣人と真逆の活動スタイルであっても自分のリズムは守っていたので、己の身体にもっと優しくしようなどとは露とも思わず、我が道を貫いていたのであります。


しかし昨日はちょっと用事があって午前中に起きたのです。
布団に入ったのはいつもの時間でしたが、それでも4時間ほど睡眠を摂ったのでまあ大丈夫だろうと思っていました。
所用を済ませ、さあ電車で帰宅の途に着こうという時です。
帰りの電車は始発駅からなのでゆうゆう座れます。ほっと息をつき、疲れた心身を癒すfuchi-koma。先日申し上げたように花粉症を患っているので、マスクをしています。
外出してから建物に入ったり帰宅したりして落ち着くと、妙に鼻がむずむずするって事、ありませんか。あれは電車の中でも起きるんだって、知ってました?
その時もどうにもむずむずして仕方ないので、思わずマスクの上から鼻を擦りました。すると、くしゃみが出ました。特大のくしゃみが。


――ぶえっくしょん。



気がつくと、マスクに赤いものがべったりついています。


あ…………。


言葉も出ません。


マスクを外してみると、内側に鮮血が飛び散って、バラの花が咲いています。
瞬間、私は貧血児のような眩暈を感じ、それとともに恐ろしい考えが脳裏を駆けました。


(ついに私の不養生が、この身体をして吐血しむるに至ったか。私は、私は己が肉体を腐らせてしまったのだ――)


私の顔面はさぞや蒼白だったでしょう。


確かにこのところ、さんざん無理はしていました。
最近の我が一日を再現しますと、それは夕刻――日が沈む頃に起きて始まり、HDDに録り駄目している『マンガ夜話』『サイエンスZERO』『六番目の小夜子』『ケロロ軍曹』etc...を観賞したり、インターネットのチャットで下らぬ四方山話に華を咲かせたり、ほんの僅かに創造的な勉強をしたりして過ごします。外出もたまにしますが、総じてヒッキー予備軍の日常を送っているわけです。夜は夜でインターネットなる便利ツールを用いて我が狭き興味範囲の情報収集をしたり、洋画劇場を鑑賞したり(矢張りジャッキー=チェンは『酔拳』シリーズが最高! 『ザ・ロック』は何度見ても笑えますなぁうははは)、たまにはこうして日記を更新したりして、そして夜半も遅くなった頃に風呂に入り、それからは読書に更けります。最近は精神状態が優れないので上手く書けなくて読書日記を休んでいますが、現在読書中のものは、

ほかアンソロジー・知識書数冊、といったところでしょうか。
ちまちま進行していた北杜夫短編集『人工の星』は昨日読了しました。同輩のF川君などは昨日の電話口で「ようやくM先輩みたいに一日一冊読めるようになったよ」と申しておりましたが、私にはそうやって一冊を一気通読出来るような集中力も無ければ精神状態にもないので、こうやってとっかえひっかえ細々と読んでいる次第です。
そういった諸事に加えて、昨年さる人脈よりアニメのOP/EDを集めた某会秘伝のビデオを受け継ぎまして、昨年の末からこれのDVD化計画を深く静かに進行しているので、また膨大な時間をこの作業に費やしております。これはまだ現在進行中です。夜な夜なリビングでアニメ・特撮の動画をひたすら編集しておりますと、寝ぼけ眼の親父や妹が(fuchi-komaは自宅生です)「またやってるな」と呆れ顔で通り過ぎていきます。「なぁ我が妹よ、このボトムズっての凄くカッコイイと思わないか?」「あたし明日仕事があるから。おやすみ」……さいきん妹の視線や態度が冷たいのは私の気のせいでしょうか。その妹が起床する時間になり「雷電」といういかめしい名前の目覚まし時計が鳴り出す頃に、ようやく私は布団に潜り込み、「あんたはいいよねぇ」背中から飛んでくる妹の声を尻目に暗黒なる夢魔の誘惑に身を委ねるのです。時々は寝る前に家族と一緒に朝食(fuchi-komaにとっては夜食?)を摂る事もあります。徹夜で昂じた精神を熱いコーヒーでなだめながら、朝刊を読む親父と他愛もない戦争論平和論を交わしたり、妹が今朝見た夢について意見をしたり(「フムン。フロイト的に言えば、君の見た夢はアレじゃないかな……」)……何れにしても家族とのコミュニケーションは大事ですからね。寝る直前に物を食べるのは起床時に気分が悪くなるので危険ですが、下手をすると起きてから一食しか食べてない状態だったりするので、それも仕方無い事であったりするのです。


そんなこんなで、己が身体を極限まで酷使し、マゾではないかと疑われるほど痛めつけていたfuchi-koma。


ご存知の通り、世の中というのは因果応報であり天罰覿面です。
ついでに言えば諸行無常会者定離です(なんのこっちゃ)。


これは――このマスクの鮮血は――我が身を大事にしなかったせいで身体がぶっ壊れて内臓がヤラれた挙句の吐血だ。これ即ち我が肉体に対する我の過信と傲慢と不実の結果であり、我が仕打ちに対する肉体の復讐としての報いなのだ。私は終に臓器の不信を得てしまった――そう考えざるを得ませんでした。というか自分が何を考えているのかもう判りませんでした。


ああ、とうとうここまで来ちまったなぁ…。
暫く電車の中で呆然とし、恍惚としていました。笑い出したいような、そんな心持でした。
今思えば、電車の座席で血のついたマスクを手にニヤニヤしている人間というのは、衆目には相当おかしな人に見えた事でしょう。
しかしその時は内省に手一杯で周りなんて全く見えていなかったのです。


fuchi-komaの頭脳が上述の様な日々を回想し反省し空転していると、血がぽたりぽたりと手元に落ちてきます。
私は思わず口を押さえて――、


「あれ?」


手を当てて確認してみれば、出血は口からではなく、鼻からではありませんか。
あー…………。
言葉も出ません。


なーんだ。ただの鼻血じゃないか。
どちらも不養生が導き出した結果には違いありませんが、吐血と鼻血では大違いです(そうfuchi-komaは認識しています)。私にとって鼻血なんて日常茶飯事なんですから。


それにしても、鼻血を出しながらのくしゃみというのは、何と迷惑な事でしょうね。
こんな勘違いをして、焦って恐怖して冷や汗までかいて、恥ずかしいやら悔しいやらですよ。
まったく人騒がせな…。

そう嘯きながら、fuchi-komaは今日も夜更かしをするのです。  了



注:この物語の大筋は事実ですが、幾分か表現に誇張やフィクションが混じっております。悪しからず。