『星のダンスを見においで』が復刊!

SFジュブナイルの名作・笹本祐一『星のダンスを見においで』全2巻(1巻2巻表紙絵があるのはここだけでした。。。)がこのたび目出度く完全版として復刊するようです。
ソース:復刊ドットコム
fuchi-komaも密かに投票しましたが、復刊の決定した時点でも得票数が16だったので、ずっとこれは望み薄だなと思っていたのですが――出版社や編集者の方々は矢張りきちんと見る目を持っているんですねぇ。佇まいを正される思いです。正座しなきゃ正座。

完全版は旧版1,2巻を合本して新書サイズになるようですね。
すると結構ぶ厚くなる気がしますが、元が軽いノリで驀進するタイプの小説ですから読むのに飽きるといった心配はないでしょう。何しろ笹本祐一氏といえば、初めて出版社に持ち込んだ原稿(『妖精作戦』のプロトタイプ)はスピーディな会話文で構成されていて、それが全編素晴らしく砕けた文体だったので編集部の要請で地の文だけ書き直したのだそうです。とは言え、これは笹本祐一を読んでいる人間には言わずもがな、ですが、最近の氏の著作はノンフィクションのロケット打ち上げ記『宇宙へのパスポート』であったりするので、流石に硬めの文章を書いてもおられるようです。『星のパイロット』でも実感しましたがこの方はスペックの描出が恐ろしく巧みです。あ、最近作は『ARIEL』シリーズの外伝だから、また砕けてる文体の方なんでしたね。いずれにしても笹本祐一というキーワード、これはライトノベルの源流の一つとしても、SFや青春小説の匠としても重要であり、何より書く小説が面白いのです。
その魅力を筆力不足で上手くお伝えできないのが残念ですが、もし興味を持たれたら、一度お読みになられますよう。世代や通ってきた道筋によって感想は違いましょうが、きっと無駄な時間にはならないと、そうfuchi-komaは確信しております。