ソノラマ文庫『クロノス・ジョウンターの伝説』が映画化

http://www.asahisonorama.co.jp/hp/whatsnew/whatsnew2.htmlソノラマ文庫NewOnLine)
黄泉がえり』に続きカジシン原作の映画化。今秋公開予定。
映画化タイトルは『この胸いっぱいの愛を』になる模様。んー、SF用語が入った原作タイトルは削除されるんですな…時の神「クロノス」とA=ベスター『虎よ!虎よ!』の「ジョウント(空間跳躍)能力」を組み合わせた名前のマシンってのが好きだったんですケド…。

純愛モノが今世間ウケし易いのは判りますが、今度はSF的なガジェットを疎かにはしないで欲しいですな。前作『黄泉がえり』も言ってみれば純愛モノであったわけですが、そのラヴ・ロマンスを裏打ちするハズの「黄泉がえり現象」の描写・説明(シミュレーションSFの面)が余りに不足していて、同じ様にSFガジェットを用いて孤独や死を孕んだ恋愛ドラマを描いた映画『サトラレ』と比較しても、明らかに前者は説得力に欠けていたので、これは映画作品として劣っていたと言わざるを得ませんでした。そういった点でfuchi-komaは映画版『黄泉がえり』を評価していないのですが、映画化のお陰でカジシン原作の売り上げがSF小説にしては近年稀に見る60万部という数字を叩き出した事実もまた否めません。
今作も映画には僅かばかりの期待を込めつつ(良い映画になるといいなぁ)、しかしそれ以上に原作が読まれる事を祈っておきましょう。

ところで某ベストセラー純愛小説及び映画化のお陰で、ハーラン=エリスン著のハヤカワ文庫SFはどれ位の売り上げ増を記録したのでしょう? もし300万部小説の読者が1%でも流れていれば……え、希望的観測は止めろ、ですか?